レポート

REPORT

2021/11/15

  • 郁文館グローバル高等学校
  • 夢教育推進部
  • 社会探究・協働ゼミ

『グローバル高校×大学教授』本校の「特別授業」がメディアに取り上げられました

大学教授に直接「留学の心得」や「グローバルとは何か」といった質問をぶつける、本校の「特別授業」がメディアに取り上げられました。

㈱朝日新聞出版の『AERA』、『AERA dot.』に、郁文館グローバル高校で行われた上智大学と関西学院大学の教授に直接「留学の心得」や「グローバルとは何か」といった質問をぶつける、異例の「特別授業」について掲載されました。

 

AERA 2021.11.8No.48掲載

以下、AERA dot.掲載記事を転載します。


留学の目標設定は「ボランティア」より「バスケ」がいい 大学教授にぶつけた高校生の”質問”

2021/11/10 07:00
筆者:AERA編集部

右上から時計回りに、上智大学の西澤茂教授、関西学院大学の丸楠恭一教授、
郁文館高校e特進クラス1年生の保坂詩音さん、AERA編集長の片桐圭子

 10月27日、東京都文京区の郁文館夢学園で、高校生が上智大学と関西学院大学の教授に直接、「留学の心得」や「グローバルとは何か」といった質問をぶつける異例の「授業」が行われた。

 郁文館夢学園は、郁文館高等学校と郁文館グローバル高等学校を併設する学校法人。この授業は、大学8校と企業4社がコロナ禍で激変したグローバル教育やビジネスについて語り合ったAERA 7月19日号の「NEW”GLOBAL”NEW NORMAL」がきっかけで生まれた。これを目にした同校の島村祥一教諭が、「うちの生徒たちにもこんな話を聞かせたい」とAERAスタッフにメールを送り、AERAスタッフの働きかけに二つの大学が応じたことで、90分の特別授業が実際に行われることとなった。

 当日は、上智大学経済学部の教授で高大連携担当副学長でもある西澤茂さん、関西学院大学国際学部教授で副学長、国際連携機構長も担う丸楠恭一さん、カナダ留学を控えた郁文館グローバル高校1年生、郁文館高校e特進クラス1、2年生など約130人の生徒たちをオンラインでつなぎ、AERA編集長の片桐圭子が司会を務めた。

 グローバル高校では、1年生の2月から1年間の留学がカリキュラムに組み込まれている。カナダの現地校1校につき1人ずつの留学が決まっているという現1年生は目下、それぞれに留学の準備中。教授たちには事前に、「留学中にこれだけはやっておくべきだということは」「大学の留学と高校の留学にはどんな違いがあるのか」といった質問が寄せられた。

 冒頭、関西学院の丸楠教授は「グローバルとは、国境だけではなくあらゆる境界を越えること」と説き、「他者との間に壁を作らない心の持ちようが大切です」と呼びかけた。西澤教授は「いまの価値観の延長線上に将来はない」と話し、「留学先ではリスクを取って一歩前へ出て行って」と、オンラインとはいえ緊張気味の表情の生徒たちの背中を押した。

中学校1校、普通科高等学校2校、広域通信制・単位制高等学校1校を設置する
学校法人郁文館夢学園ではいま、1700人ほどの生徒たちが学んでいる

 二人の教授のプレゼンテーションを聞いた後、生徒たちは数人ずつのグループに分かれて、「留学中に何をしたいか」「どんな人になりたいか」をテーマにディスカッション。共有のフォームには、「ボランティア活動に取り組みます」「コミュニケーション力を身につけたい」「多言語を学ぶ」「自分から行動する」などの目標が書き込まれていく。

 続々と続く生徒たちの書き込みに、丸楠教授も西澤教授も「どれも正解」とうなずくが、一つ、ひときわ教授らの注目を集めた書き込みがあった。それは、「目標とする人物はコービー・ブライアント。留学中やりたいことは英語とバスケ」という書き込みだ。

なぜこの書き込みが注目されたのか。西澤教授が生徒たちに伝えたのは「具体的であること」の重要性だ。

「頭の中に具体的なイメージを持たないと、結局は動けないですから」と西澤教授。丸楠教授はこれにうなずき、自身の留学中を振り返りながら「コミュニケーションには苦労した」と告白。その上で「伝えたいという強い意欲を理解してもらう。大切なのはテクニカルな能力よりもマインドだ」と生徒たちに訴えた。

授業は終了の予定だったのだが、チャット欄に生徒から「どうしても直接質問したいことがある」と書き込まれる”ハプニング”。海外大学への進学も考えているというe特進クラス1年生の保坂詩音さんは、「文理の選択はどの程度、将来に影響するか」と質問。上智の西澤教授は「あらゆる学問にデータサイエンスが関わるようになったことで、文系と理系の垣根はなくなってきている」と説明。関西学院の丸楠教授も「関西学院大学の国際関係学部で学んだ学生が、データサイエンスを扱う海外の大学の大学院に進学しているケースがある」と実態を伝えた。

西澤教授が教壇に立つ上智の経済経営学科に進学を希望しているというグローバル高校1年生の渡辺麦さんも手を上げて、「大学進学まであと2年。最初の1年は留学。次の1年はもう高3です。どんな風に過ごせばいいか」と質問した。

西澤教授はまず、「ここで出会ったことをきっかけに、上智大学について、経済学部について、もっとよく知ってほしい。近くなのでぜひ一度遊びに来て」とメッセージ。その上で、学校推薦型選抜(公募)での受験を検討しているという渡辺さんに「現地でどういう体験をしてきたのか。ありきたりなことではなく、本当に体験したことを伝えてほしい」とアドバイスした。

授業後に提出されたアンケートには、「将来のためになる内容だった」
「グローバル=語学力という概念が覆った」など、生徒たちの感想がびっしり

 オープンキャンパスでの体験授業などを除けば、今回のように高校生が大学教授と接点を持つ機会は少ない。教授らに直接質問したり、生の話をきいたり。一本のメールから生まれたこの授業が生徒らに与えた刺激は計り知れない。(文・AERA編集部)

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