理事長・校長ブログ

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2010/11/12

  • 理事長・校長

創立記念日

明日1113日は、本校の121回目の創立記念日です。

 

明治22年(1889年)、27歳の若き教育者・棚橋一郎が郁文館を創立しました。1113日挙行された開校式には、榎本武揚文部大臣、加藤弘之元老院議員を初め、文部次官、東京府知事など朝野の名士が多数参列し、式典は盛大を極めました。

 

創立者が職員二十余名、生徒わずか二十五名の小世帯をもって授業を開始した情熱の底には、形式主義の官学にあきたらず、自由な立場で自己の教育理想(「旺盛なる独立心の要求せられる近代社会にあって真に役立つ人間の育成」)を実現しようという信念が脈々として流れています。

 

近代国家建設に貢献できる国民を作ることを教育、学校に求めていた政府に対して棚橋は、本当の近代国家を作り上げるためには、官主導の画一的な教育ではなく、国民一人ひとりが確固たる考えと個性を持つ有能で個性的な社会人となることが必要で、その集合体こそが真の近代国家となりうると考え、そうした人材を輩出すべく郁文館を創立し、官学対する私学の重要性を訴えたのです。

 

上からの押しつけではなく、生徒一人一人が高い理想に向かい、その知性と教養を磨いていくことこそ、私学の先駆者たらん郁文館の建学の理念なのであり、創立者棚橋は、時代の先を見通すことのできる、明治の先覚者ともいうべき教育者でした。

 

現在、郁文館の進める夢教育は、21世紀になり急速に変貌しつつある社会変化に対応するための、まさに「時代の先覚者」としての自覚から生まれたものであり、建学の理念と精神を守りつつ、日本の教育をよりよいものに変えていくための歩みであり、郁文館は日本の教育の先導的役割を果たす夢教育を展開することで、創立者棚橋一郎が掲げた理想を実現していきます。

 

 

本日、理事長とともに創立者の墓参をして来ました。

墓地は谷中の全生庵にあります。

 

 

 

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創立者の専門は漢文学・倫理学でしたが、明治の知識人らしく幅広い教養に溢れ、特に英語教育の重要性を認識し、明治21年には名高い米人ウェブスターの英語辞典を『新刊和訳字彙』として三省堂より刊行、これは明治2030年代、英語学習の分野において一世を風靡しました。 

 

一方で、政府の欧化主義を批判し、国粋保存主義を唱えた政教社の設立メンバーでもあった創立者は、欧米流の近代的価値観に流されやすい時代状況のもと、個性を持ち合わせない国際化などありえず、明確な日本の自我を確立すべきという、まさに本当の意味での「国際化」を見通した考え持つ明治の先覚者でもありました。

 

創立者のこうした考えを継承する郁文館では、現在でも海外研修、外国からの訪問受け入れ、グローバル高校の留学など国際交流に意をそそぎ、今後のアジア研修などを通じ、日本及び日本人の国際化に貢献できるよう努めていきます。

 

 

校長  宮崎 宏