2010/09/10

『相撲道』とは

 財団法人日本相撲協会寄附行為の第3条にこうあります。

「この法人は、わが国固有の国技である相撲道を研究し、相撲の技術を練磨し、その指導普及を図るとともに、これに必要な施設を経営し、もって相撲道の維持発展と国民の心身の向上に寄与することを目的とする。」

 寄付行為というのは「規則」あるいは「条例」のようなものですが、私はこの第3条の中で『相撲道』という言葉に関心を持ちました。そして相撲協会の理事会や独立委員会の場で相撲道とはなんですかという質問をしてみました。すると、「礼に始まり、礼に終わり、土俵の上で技と人間性を磨くこと。」という返事が返ってきました。そこで私は「春日山部屋」と「貴乃花部屋」を訪ね、部屋の様子を見させていただきました。朝早くから準備が始まり、ぶつかり稽古では200キロ近い力士が頭からぶつかり、真剣勝負をしていました。夏ですから、廻しから汗がしたたり落ちるのです。信じられない光景です。薄いTシャツなどではなく、あの厚い廻しを通して汗が流れ落ちているのです。他の力士たちもぼうっとその稽古を見ているのではありません。彼らも四股を踏んだり、鉄砲をしたりして自分の稽古に余念がありません。まさに「命がけの修行の場」でした。極限まで自分を追い込んでさらに限界を超えていく。技と共に精神的にも成長する。これぞ「相撲道」です。このことはすべてに共通すると思いました。受験勉強でも、クラブ活動でも、必死に挑んで限界を超えていくのです。甘えの中には成長はありません。高校3年生の諸君、どうか限界を超えた努力をして受験を突破してください。

 相撲部屋では、15~16歳ぐらいの子供も必死に練習に参加しているのですが、稽古からはすぐに出されてしまいます。掃除、洗濯、食事の用意をしなければならないのです。いわゆる下積み生活です。しかし、現代は豊かな社会です。必死に下積み経験をする子供は日本にはあまりいなくなっているのではないかと思います。社会が豊かになればなるほど、相撲は弱くなっていくのではないかと不安です。モンゴルの社会は日本ほど豊かでありませんから、一生懸命、下積みを経験して相撲取りになっていくのだと思います。テレビに写る華やかな姿はほんの一部分なのです。実際には力士たちは毎日、毎日、朝早くから晩まで必死に練習し、厳しい生活をしているのです。日本の子供たちは豊かであっても厳しさに耐える子であってほしいと心から願います。

理事長 渡邉美樹

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